Hello!!!!!! Buona tavola Tricolore ボナ タボラ トリコローレ

岐阜県大垣市にあるイタリアンベースの美味しいお食事とワインのお店です。

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第30話

第28話
第29話

男の子は、たけるを睨み付けている。
俺は、男の子を睨み付けている。

たけるは、身内の事かのように親身に事情を聞こうとするも、男の子は涙を浮かべ睨み続けていた。
「何をする気だった。」やっと出た声はか細い声だが、全身の声をたけるに向けた。

たけるは何も分からない様子だったが、非は自分かのように男の子の話を受け入れる姿勢を見せた。

男の子は話が通じない苛立ちを見せながら、たけるを睨み続けた。
男の子はふと視線を下に向た。
あ、あ、あわわと尻もちをつき
何か恐ろしい物を見た様な形相をしていた。

俺もそれに視線を向けた。

何もない。


「コ、コーヒーカップが逆さまじゃない。」と男の子は声に出した。

「何言ってるんだ。」と、俺はかかろうとすると
たけるはすっと俺を止め、男の子を見ていた。
哀れな者を見る目でなく、純粋な優しい目で男の子を包むように見守っていた。

「わかったよ。」と、俺はたけるにそう言い
男の子の肩を持ち「まあ落ち着けよ」と席に連れて行ってやった。

震えた肩をしていたが、俺にはこれ以上どうすることも出来ない。

すると、たけるは男の子に飲み物を差し出した。
「どうぞ。これ飲んで落ち着いて下さい。僕があなたに迷惑かけていたかも知れない。もしかしたら、店が迷惑だったかもしれません。落ち着いたら、あなたが良ければゆっくりお話しましょう。」

と言い、男の子から離れた。

「さて、俺は大河のハンバーガー作るか。」と厨房に入っていった。
たけるに不満な色は見えず、男の子を受け入れている顔をしていた。

たけるが思うならと思ったが、どうも納得できず俺はカウンターから男の子に声をかけた。
「おい、どうしたっていうんだ。カップが逆さって何だよ。」


返事がない。
耳をふさいで、下を見てぶつぶつ言っているようだ。
頭を横に振り、それでも下を見てこう言う。
「なんでもない。」

これ以上、問いつめても仕方ないし、やはり俺はここの人間ではない。
たけるの問題だ。
そう自分に言い聞かせ、俺は厨房に行った。


ハンバーグをひっくり返して蒸し焼きしている所だった。
俺も今のをなかった事にし、たけるの調理を見る事にした。

流れるように手が動く。
バンズをグリル板から取り出す。
バンズにバター、粒マスタードを塗る。サラダ菜、ルッコラ、グリーンリーフを敷きその上に切り立てのトマトと自家製のピクルスを乗せる。
ハンバーグの蓋を開けゴーダチーズを乗せ、もう1度蓋をする。
皿に、付け合せのサラダとピクルスの飾り切りを盛る。

ハンバーグが焼き上がり先ほどの具材の上に乗せ、みじん切りの玉葱、自家製のトマトソースをかけ
バンズを挟んで完成。

「はい。どうぞ。」と自慢げな笑顔でたけるは言い、カウンターに運んでもう1本ハイネケンを出してくれた。

大口を開けても入らないほどの大きさだが、がっつり食らいついた。

カウンター越しにたけるは言った
「どうだ。うまいだろ。バンズをグリルするのは香ばしさを出して他とは違う様にしたんだ。
ハンバーグの焼き加減もレアでもミディアムでもいけるんだ。」
と、やっぱりたけるは料理の事になると、とにかく嬉しそうに話す。

そういえば、ここに来て料理の話しかしていない。久しぶりに帰ってきて思い出話もしていない。
でも、話は弾む。
俺ってこんなに料理の話をする人間だったか?
そんな事を思ったが、今はまあいい。
この時間が楽しい。 他にいる2人の存在があるにも関わらず、この時間は心地いい。


すぅーっと風が入ってきた。
音はないが、自然に風の方向のエントランスに目をやる。
全身真っ黒の衣服に包まれた女性が微笑んで立っている。
今お店にいる4人を一通り眺めた様な気がした。

そして女性は丸い窓にあるテーブルに移動した。



  1. 2009/06/26(金) 21:10:31|
  2. a novel (coffee cup)
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