Hello!!!!!! Buona tavola Tricolore ボナ タボラ トリコローレ

岐阜県大垣市にあるイタリアンベースの美味しいお食事とワインのお店です。

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第54話

第52話
第53話


ペーパードリップで丁寧にコーヒーを淹れた。

コーヒーカップに注ぎ、たけるに渡した。

「どうだ?たける少し落ち着いたか?


俺の話をしていいか?たいした話じゃないんだけどな。このコーヒーカップ。このコーヒーカップと色違いのコーヒーカップをたけるにもらっただろ?
俺の家にはさ。コップと言えば、このコーヒーカップしかないんだ。
このコーヒーカップで朝コーヒーを飲むんだ。そして、仕事から帰るとビールとかワインとかこれまたこのコーヒーカップで飲むんだよな。グラスなんてないし、もちろんワイングラスもない。
でもな。なんでなのかな。
これが落ち着くんだよな。大袈裟に言うと一日の始まり一日の終わりはこのコーヒーカップなんだよな。」

俺は少し余分な話をした。
話を逸らすつもりはないが、この場の雰囲気を変えたかったのかもしれない。
なんとなく言葉に出た。
言いながら、気付いた事がある。
実際俺はそれほどコーヒーカップに特別な思い入れはなかった。口から出任せな言葉だったが、あながち嘘ではない。一日の始まりも終わりもたけるにもらったコーヒーカップを使っている。


たけるはうなずいて、コーヒーに口をつけた。
「うまいな。コーヒー。」 


「少し取り乱してしまったな。すまない。
料理ができないっておかしいよな。 俺はここの店のオーナーシェフなんだ。
それなのになぜだろう?出来ないって言葉がぴったりなんだよ。
フォークの使い方までも分からなかったんだ。大河の持ち方を見てな、違いに気付いたんだ。
そんな事、いくら大河でも言えなかった。理由が見当たらないだろ。
気付くことは出来るんだ。 見て覚える事も出来る。ただ覚える事は出来ても実際出来はしないんだ。


俺の今までって一体ナンなんだ。ちくしょう。」


たけるはコーヒーを飲み干し、おもむろにコーヒーカップを突き上げた。



はっとした瞬間、たけるは止まった。


「な・なんだ。
あれはなんだ?頭が痛い。脳にメッセージが突き刺さるように入って来た様だ。
でも、あのメッセージはなんだ?う・うー。」

俺はどうしていいのか分からない。「大丈夫か」という言葉はさすがにナンセンスだ。

「朝もそうだったんだ。頭が張り裂けそうに痛くて目が覚めた。気付くと頭痛は治まって…。
それから、起きるには少し早かったんだけど、厨房に入ったんだ。


そしたら、こうなっちまっていて…。


それで、今コーヒーカップを叩き割ろうとしたら、激しい頭痛と何かメッセージみたいな…。


メッセージって何だよ。頭までイカレチマッタノカ?」


今のたけるには何を言っても届かない。
いや。たけるに届ける言葉が見つからない。
俺も冷静じゃいられない。
駄目だ。俺が冷静でいない俺がたけるを何とかしてやらないと。

俺はもう一度整理する事にした。

さっき整理した事をもう一度心の中で言った。
コックを10年、職としてやってきた事。
昨日あれだけ、料理の話をしてあれだけ一緒に仕込みをしていたという事。
流れるような手さばきを俺は昨日見たという事。
昨日のあのうまいハンバーガーはたけるが作ったやつだという事。
俺は出来ているという事。

答えは分からないが、一つのキーワードを見つけた。
「昨日」

そうだ。昨日は出来てたんだ。
  1. 2009/07/17(金) 21:53:34|
  2. a novel (coffee cup)
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