Hello!!!!!! Buona tavola Tricolore ボナ タボラ トリコローレ

岐阜県大垣市にあるイタリアンベースの美味しいお食事とワインのお店です。

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第69話

第67話
第68話

行き着いた場所は、黒い服の男のいる場所だった。
ポムラとは顔見知りの様だが、なんだか気味が悪い。
そもそも、俺はこの男にいい印象がない。
ここで何をしている。
茂みに身を隠して。

俺も小さい時はよくこの山で遊んだもんだ。
虫をとったり、探検したり、それこそかくれんぼしたり。
思い出に執着する訳じゃないが、汚されているようで気分が悪い。

探していた3人のうち2人がここにいるのに、その先が見当たらない。
2人の会話から、関係者である事は容易に察する事が出来る。
しかし、解決口が見つからない。
男は夜にカフェでと言った。
夜になるとなんだと言うんだ。今じゃ駄目なのか?
それより、やはり最大の疑問はこの男はココで何をしてるのか?
いや、最大ではない。
ここで何してようがどうでもいい。たけるの事を教えてほしい。
聞きたい事は山ほどある。


ポムラは何も言わず歩き始めた。

「おい!待てよ。」
俺が止めるもポムラは立ち止まらず歩いていった。
大きな声を上げてしまい男に嫌がれるかと男を見ると、

男も小さな声を張り上げ
「まだ危険だ」と言った。
その顔は事態の深刻さを物語っていたが、ポムラは平気だと言い奥の方へ歩いていった。

なんなんだ? ポムラもこの男も。
もう夜になるのを待つしか他にない様だ。

俺は、いやたけると俺、いやもしかしたらポムラもこの男も激流の渦に巻き込まれてしまっているのだろう。
誰かが、意味もなくスプーンをぐるぐるぐるぐる回しているのだろうか?
ミルクも砂糖も入っていないコーヒーをぐるぐるかき混ぜる様に。

ココにいても仕方ないと思い、ポムラの後に付いた。
ポムラはチラリと後ろを見、俺を確認し何も言わず歩き続けた。

小道の脇のこれまた小道というのか道なき道を入り、開けた場所に出た。

背の低い小山は子供達の絶好の遊び場だった。
この山は全て知っているものと思っていたはずなのに、ココの場所だけは知らなかった。
絶景までは行かないまでも低いながら街を見渡せ気分がいい。
やりきれない気持ちも大分落ち着きを取り戻す事が出来た。
なんだか少しポムラがいい奴に思えた。


展望室とは違った景色を眺める。
ポムラはリュックをごそごそし、ビデオカメラを取り出した。
大型の角張ったごつごつしたビデオカメラだ。
「ははは。えらい古いカメラだな。」
ポムラの返事はないが、特に返事を求めてるわけでもなかった。

展望室と比べ街が近くに見える。
観覧車にツインタワー。
俺がいた時はこんなのなかったっけ。
昨日の晩たけるが言ってたな。
「ツインタワーと観覧車のおかげで街が若返った」って。
そうだな。大分ココも都会的になったな。

「なあ。ポムラ。夜になるとライトアップされてきれいになるみたいだな。
また落ち着いたら連れてってくれよ。」
この言葉には自分でも驚いた。ここにポムラと一緒に来るはずなんてもうないはずなのに。

ポムラは取り出したカメラを写す訳でも見る訳でもなく持ったまま景色を眺めているだけだった。
ビデオ見せてくれよと言う問いに全く答えないポムラ。
答える以前に全くの無視。
奪い取る様に手にとったビデオを見る。
電源を押し▷のマークを押した。
サーサーサーと音と言うのか微かな音だけの映像が映っている。
微かな音だけの映像。目で見えるのは真っ暗な場面。
真っ暗ながら微かに手の動きで写している場所を移動しているのが分かる。

「ポムラなんだよ。何も映ってないじゃないか?って言うより故障じゃないのか?俺が壊したわけじゃないぞ。ほら。」

と渡すと、ココからと答えた。

不思議な奴だ。
昨日だってそうだ。扉を蹴り上げたり、たけるに突っかかって来たり。お金を投げ逃げる様に店を出たり、
今一緒にココからの景色を見ているじゃないか?
見えるのは、観覧車にツインタワー。
今言っただろ。ライトアップされるって。


俺はいくつか話をしたが、ポムラは何も答えない。
今回は無視という感じではない。
話は聞いてくれているみたいだった。
なぜだかそれがちょうどバランスが良かった。

俺がこの街で産まれて育った事。
東京に行った事。
シェフをしている事。
帰って来た事。
なぜ10年ぶりに帰って来たかという事。
たけるの事。

俺は人と話をするタイプではない。出来るだけ必要じゃない人間との関わりは避けて来た。
なぜか、ポムラには話が出来る。
変わった人間ではあるが、話していくうちにポムラのあくが薄れていくようですごく話がしやすかった。
と言ってもほぼ話しているのは俺なわけだけで、少しの返事と相づちだけ。
もっとも話していくうちに返事と相づちは増えてはいる訳だが。

一番気になっているエプロンのコーヒカップの絵柄。
なぜかそれは夜のカフェでの方がいい気がしてならない。

6月の日中は長い。
夜はいつ来るのか。
夕日が街を赤く染めかかっている。

  1. 2009/08/17(月) 18:01:13|
  2. a novel (coffee cup)
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